2011-03-23から1日間の記事一覧

真昼の決闘('52) フレッド・ジンネマン  <男が覚悟を括るとき>

灼熱の荒野に、かつて保安官の手によって監獄送りにされたアウトロー、ミラーが戻って来る。リベンジのためだ。 そんな厄介な男を、彼の舎弟たちが駅に迎えに行く。男たちには、何もかも予定の行動だったのである。駅に迎えに行く舎弟たちを目撃した町の住民…

雁('53)  豊田四郎 <約束されない物語の、約束された着地点>

1 特定的に選択された女性 「これは、東京の空にまだ雁が渡っていたときの物語です」 これが本作の冒頭の説明。言わずと知れた、森鴎外の著名な原作の映画化である。 ―― ともあれ、そのストーリーラインをなぞっていく。 ここに一人の男がいる。その名は末…

クイズ・ショウ('94) ロバート・レッドフォード <社会派映画の最高到達点 ―― フィフティーズの光と影>

1 「家族主義の時代」の物理的目玉商品 優れた社会派ドラマは優れた人間ドラマに補完されることによって、最強の社会派ドラマであることを典型的に検証した映像―― それが「クイズ・ショウ」だった。 以上の視点で批評していくが、この章では、映像の文化的…

告白('10)  中島哲也 <ミステリー性に富み、比較的面白く仕上がったエンターテインメント>

1 「女性教諭」の衝撃的な告白 欺瞞的な「愛」と「癒し」で塗り固められた「お涙頂戴」の情感系映画が、もうこれ以上描くものがないという沸点に達したとき、その目先を変えるニーズをあざとく嗅ぎ取って、この国の社会が抱える様々なダークサイドの〈状況…