2011-04-03から1日間の記事一覧

風の丘を越えて('93)  イム・グォンテク <寒風に身を晒す旅―「旅」「恨」、そして「忘れ物」>

一人の芸人が、二人の義理の子供と旅をする。 子供の一人は、芸人に養女として引き取られた孤児。もう一人は、自分が愛した女の連れ子。女は難産の末逝去し、そこに一人の男の子が残された。芸人は男の子を引き取って、養父となった。 パンソリの名手である…

ケス('69)  ケン・ローチ  <炸裂と埋葬 ―― 思春期彷徨の果てに>

一台のベッドに、年の離れた二人の兄弟が眠っている。目覚まし時計で起きない兄を、弟は起こそうとする。しかし兄は起きようとしない。 「目覚ましを7時に」と弟は促す。 「自分でやれ」と兄は突き放す。 「勝手にしろ」と弟も突き放す。 「生意気だぞ」と…

黒水仙('47)  マイケル・パウエル <「内的秩序」の防衛力の「脆弱性」>

ヒマラヤ山麓の小さな村で、子供たちの教育や奉仕活動のために、カルカッタ(現在のコルカタ)の尼僧院から、強い使命感を抱いて赴いた5人の英国の尼僧が、そこで直面する苛酷な自然環境と「異界」の文化風土によって、次第に疲弊し、信仰心を希薄にしてい…