2012-03-04から1日間の記事一覧

(人生論的映画評論・続/街の灯('31)  チャールズ・チャップリン <「純愛譚」の終焉を告げてフェードアウトしていく、虚構の物語の残酷なる着地点>)より抜粋

1 一世一代の「純愛譚」に身を捧げる男の物語 金を蕩尽するだけの富豪と、盲目の花売り娘という定番的な対比にシンボライズされた資本主義への呪詛は、オープニングシーンで滑稽に描かれた「平和と繁栄」の記念の彫像の描写の挿入によって開かれるが、いつ…

名画短感⑧ 黄金狂時代('25)   チャールズ・チャップリン監督

「チャップリン映画」の中では、最も好きな作品。 金鉱を求めてアラスカの雪山で苦労する男たちの話に、滑稽なラブストーリーが絡んで、極めて完成度の高いチャップリン喜劇が誕生した。 嵐によって自分たちの小屋が断崖の縁まで飛ばされて、その小屋の中で…

武蔵野春爛漫(その1)

「神代植物園のハナモモ園」 私の最も好きなハナモモの樹木がピンクや赤、白の色をつけて咲き揃う4月中旬は、ソメイヨシノが散った後の眩いばかりの新緑を借景にして、私には、そこだけが目立って、陽春の季節を演出している主役のように見えるのである。 …