2013-06-02から1日間の記事一覧

メランコリア(‘11) ラース・フォン・トリアー <「この世の終わりに生きている者」が、「この世の終わりに生きていない者」に提示した挑発的映像の凄み>

序 「この世の終わりに生きている者」が、「この世の終わりに生きていない者」に提示した挑発的映像の凄み 抜きん出た構成力と毒気溢れる主題提起力によって、一級のアートにまで昇華したラース・フォン・トリアー監督の力量を存分に検証した傑作。 「この世…

サン・ジャックへの道('05) コリーヌ・セロー <ハッピーエンドの「ヒューマンドラマ」に収斂される流れを担保にとる姑息さ>

1 「旅は、人を変容させる」というロードムービーの基本命題 「旅は、人を変容させる」 全てとは言わないが、この「変容」という概念に収斂される極め付けの幻想が、ロードムービーの基本命題である。 従って、ロードムービーを成功させるのは、「変容し得…

リンダリンダリンダ('05)  山下敦弘 <「青春映画の王道」を相対化し切った映像の独壇場>

1 「困難な状況下の、苛酷な努力による『仲間の再生』」という文脈の暑苦しい臭気を蹴飛ばして 観る者に、冒頭から見せるのは、校内の廊下の長回しのシーンによる、学園祭の準備風景。 既に、この作品が、「学校生活」という退屈極まる〈日常性〉の中の、「…