2013-12-08から1日間の記事一覧

女相続人(‘49)  ウィリアム・ワイラー<「過剰学習」なしに突き抜けられなかった女の自立と再生の物語>

1 心理描写に優れたウィリアム・ワイラー監督の傑作群の一つの極点 本作は、紛れもなく、一級の名画である。 常に高い水準の作品を世に出してきたウィリアム・ワイラー監督の傑作群の中で、「ローマの休日」(1953年製作)や「ベン・ハー」(1959年…

「対象喪失児の『悲哀の儀式』の大切さ」 ―― 映画「禁じられた遊び」が問いかけるもの

1 両親の死という悲痛のルーツに辿り着くするまでの物語 映画「禁じられた遊び」から、「対象喪失児の『悲哀の儀式』の大切さ」の重要性について考えてみたい。 テーマの具体的副題は、「ポーレットは、なぜ叫んだのか」。 ―― 以下、物語の梗概を簡単にフォ…

映画「普通の人々」に見る、「PTSDの底知れない破壊力」

1 この世に厳然としてある、どうしても、なるようにしかならない人生の危機 普通の人々の日常性は、概して退屈である。 そのときは極端に緊張し、膨大なストレスを溜め、逃げ出したくなった人生の日々のように見えたとしても、後になってそれを思い起こすと…

観念としての「差別意識」と、身体表現としての「差別行為」を、厳として分けることの大切さ

例えば、知人の子弟が東大に合格したとき、その子弟を賞賛する者の儀礼的な言葉のうちには、既に大学のレベルを序列化する優劣意識が含まれている。 或いは、自分の瞳の美しさを褒められても、少し鼻が上向きであることをからかわれて怒ったとすれば、その者…