練馬区西大泉に自宅兼用の学習塾の借家を借りていた私は、西武池袋線に乗って都心に出て、そこから、都内各所にあるビューポイント巡りをする選択肢も悪くないと考えていた。
実際、これまで知らなかった多くの花名所を、繰り返し訪れもした。
そこで出会った風景は、私の知っている「喧騒の東京」というイメージと切れていて、そこだけは自分の土地を愛する人々の息吹が感じられるような、特化されたスポットになっていて、まるで、タイムトラベルしたような気分を味わうことができた。
東京はこんなにも美しいのか。
正直、そう思った。
ここでは、日本というよりも、東京を代表する陽春の花、ソメイヨシノのビューポイントをピックアップしてみた。
何と言っても、私の本命とする名所は、小石川植物園のソメイヨシノである。
殆ど、「サクラの植物園」と言っていいほどの壮観な風景が繰り広げられていて、大袈裟に言えば、「一目千本」という感じである。
また、新宿御苑のソメイヨシノも有名だが、ここは何より、4月中旬に咲くサトザクラの名所であると言っていい。
恐らく、都内でサトザクラがこれほど咲き揃う公園もないだろう。
だから、首相主催の「桜を見る会」も、この時期に開かれるというのは有名な話。
他にも、池上本門寺のソメイヨシ、上野不忍池のソメイヨシノ、千鳥ヶ渕のソメイヨシノ、「墨堤さくらまつり」で有名な、墨田河畔を白一色に彩るソメイヨシノも、23区を代表するサクラの名所である。
しかし、私にとって何より魅力的なのは、八王子市の二箇所のサクラ名所が最も忘れ難い印象を残している。
一つは、それこそ「一目千本」という言葉そのものが当て嵌まる、滝山城址のサクラであり、もう一つは、浅川実験林(現在の多摩森林科学園)の「サクラのデパート」である。
この二箇所のサクラ名所の風景は壮観であり、その美しさにおいて比類がない程だ。
ただ残念なのは、このサクラの名所は私が写真を撮りに行った、遥か20年以上前にはそれほど知られていなかったが、テレビなどの紹介であっという間に人工に膾炙(かいしゃ)され、それこそサクラロードを歩くだけで、観光客が数珠繋ぎになると言った具合で、サクラを鑑賞する余裕が奪われるというリスクが伴うことである。
だから、ここに行くときは、いつも開園時間に合わせてスケジュールを組んだもの。
それでも、園内を歩いて30分もすれば、人、人、人の洪水になるのは避けられない。
これは、「花の名所」の宿命とも言うべきものだろう。
そのことを思うとき、ソメイヨシノが新緑の風景に変容した頃、広々とした公園に、サトザクラが満開になる新宿御苑の静けさの方が、私にとってて魅力的ではある。
その頃の新宿御苑には、シダレザクラやミツバツツジも同時に咲いているので、百花繚乱の壮観さを占有した気分を味わうことができるのである。
更に、サクラの名所とは言えないが、百草園のウメ、高尾梅郷の紅梅、神代植物公園のハナモモやハナミズキ等の美しさもまた出色であった。
実際、これまで知らなかった多くの花名所を、繰り返し訪れもした。
そこで出会った風景は、私の知っている「喧騒の東京」というイメージと切れていて、そこだけは自分の土地を愛する人々の息吹が感じられるような、特化されたスポットになっていて、まるで、タイムトラベルしたような気分を味わうことができた。
東京はこんなにも美しいのか。
正直、そう思った。
ここでは、日本というよりも、東京を代表する陽春の花、ソメイヨシノのビューポイントをピックアップしてみた。
何と言っても、私の本命とする名所は、小石川植物園のソメイヨシノである。
殆ど、「サクラの植物園」と言っていいほどの壮観な風景が繰り広げられていて、大袈裟に言えば、「一目千本」という感じである。
また、新宿御苑のソメイヨシノも有名だが、ここは何より、4月中旬に咲くサトザクラの名所であると言っていい。
恐らく、都内でサトザクラがこれほど咲き揃う公園もないだろう。
だから、首相主催の「桜を見る会」も、この時期に開かれるというのは有名な話。
他にも、池上本門寺のソメイヨシ、上野不忍池のソメイヨシノ、千鳥ヶ渕のソメイヨシノ、「墨堤さくらまつり」で有名な、墨田河畔を白一色に彩るソメイヨシノも、23区を代表するサクラの名所である。
しかし、私にとって何より魅力的なのは、八王子市の二箇所のサクラ名所が最も忘れ難い印象を残している。
一つは、それこそ「一目千本」という言葉そのものが当て嵌まる、滝山城址のサクラであり、もう一つは、浅川実験林(現在の多摩森林科学園)の「サクラのデパート」である。
この二箇所のサクラ名所の風景は壮観であり、その美しさにおいて比類がない程だ。
ただ残念なのは、このサクラの名所は私が写真を撮りに行った、遥か20年以上前にはそれほど知られていなかったが、テレビなどの紹介であっという間に人工に膾炙(かいしゃ)され、それこそサクラロードを歩くだけで、観光客が数珠繋ぎになると言った具合で、サクラを鑑賞する余裕が奪われるというリスクが伴うことである。
だから、ここに行くときは、いつも開園時間に合わせてスケジュールを組んだもの。
それでも、園内を歩いて30分もすれば、人、人、人の洪水になるのは避けられない。
これは、「花の名所」の宿命とも言うべきものだろう。
そのことを思うとき、ソメイヨシノが新緑の風景に変容した頃、広々とした公園に、サトザクラが満開になる新宿御苑の静けさの方が、私にとってて魅力的ではある。
その頃の新宿御苑には、シダレザクラやミツバツツジも同時に咲いているので、百花繚乱の壮観さを占有した気分を味わうことができるのである。
更に、サクラの名所とは言えないが、百草園のウメ、高尾梅郷の紅梅、神代植物公園のハナモモやハナミズキ等の美しさもまた出色であった。