そのメッセージの深みに届かないだろう、当該(とうがい)国家の厳しい検閲を突き抜け、のちに、同じ映画監督に昇りつめていく名カメラマン(チャン・イーモウ)の撮影技術の完璧な援護を受け、やがて、「第五世代」と呼ばれるようになるチェン・カイコー監督の圧巻の演出力と力強い映像は、少なくとも、私の中枢を切っ先鋭く射抜く充分な衝迫(しょうはく)をもたらした。
奇(く)しくも、文革の被害少年(チャン・イーモウ)と加害少年(チェン・カイコー)が、その文革の狂気を全土に振り撒(ま)き、操(あやつ)った者たちへの贖罪を求めるかのように立ち上げ、手を握り合って構築された記念碑的映像 ―― それが、映画「黄色い大地」だった。