2011-01-22から1日間の記事一覧

サイコ('60)  アルフレッド・ヒッチコック <精神異常の闇の深奥に到達した一級の心理劇>

「ただ一か所、シャワーを浴びていた女が突然惨殺されるというその唐突さだ。これだけで映画化に踏み切った。まったく強烈で、思いがけない、だしぬけの、すごいショックだったからね」(「ヒッチコック 映画術 トリュフォー」山田宏一、蓮實重彦訳 晶文社)…

小早川家の秋('61)  小津安二郎 <映像作家としての、そこだけは変えられない表現世界の癖>

何度観ても、相変わらず馴染めない小津ルールの洪水。 小早川家の亡き長男の嫁、秋子と、小早川家の次女、紀子との会話の不自然さに、またしても大いなる違和感。会話なのに口だけ動いて、切り返しのショットで表情の変化を見せないばかりか、ここでも会話の…

人間の本来的な愚かさと、その学習の可能性

二人の医大生がいた。 彼らは心ならずも、彼らが所属した組織の中で由々しき犯罪にインボルブされ、恐らく、生涯苦しむことになった。彼らが手を染めることになった犯罪は、軍の命令で米兵捕虜を生体実験すること。 世に言う、「九州大学米軍捕虜生体解剖事…