2011-01-25から1日間の記事一覧

「察しによる曖昧さ」を「美徳」とする、この国の「病理」

1 「察しによる曖昧さ」を「美徳」とする、この国の「病理」 あれは何年前だったか、テレビ朝日の看板番組である「朝まで生テレビ」を観ているときだった。 そのときのテーマは忘れたが、その議論の中で、安全保障についてのトークバトルが開かれた。 パネ…

ライフ・イズ・ビューティフル('98) ロベルト・ベニーニ  <究極なる給仕の美学>

1 軽快な映像の色調の変容 一人の陽気なユダヤ人給仕が恋をして、一人の姫を白馬に乗せて連れ去った。映画の前半は、それ以外にない大人のお伽話だった。 お伽話だから映像の彩りは華やかであり、そこに時代の翳(かげ)りは殆ど見られない。 姫を求める男…

奇跡('54) カール・ドライヤー   <ヨハネスという投げ入れる祈り、幼子という微笑みのイノセンス ―― インガの蘇生という奇跡の構造>

ボーエン家に、あってはならない事態が出来した。 産気づいたインガが、難産の危機に遭ったのだ。 インガの存在の大きさを感受する家族は、皆オロオロし、不安を募らせるが、結局死産となり、医師の楽観的見立てに反して、遂にインガ自身も昇天してしまった…