2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

インセスト ―― その底層に澱む自我の歪みの本質

現代社会において、「人類最後のタブー」と言われるインセスト・タブーについて言及したい。 2年以下の禁固刑と定められているドイツの「近親相姦罪」(近親婚を認知する動きあり)が有名だが、日本では、明治時代に消滅して以来、近親相姦を罰する法は存在…

人生は自助努力半分、あとは「運・不運」の問題である

1 「私たちは、神に頼らず、自力でここまで来た!助けは請わない。だから邪魔するな!」 ―― 物語の簡単な粗筋 大晦日の夜。 豪華客船が航海の途中、多くの客が乗り合わせていた渦中に巨大な津波が押し寄せ、豪華客船は一瞬にして転覆してしまう。 パニック…

何度でも「居場所」を替えて手に入れる「物語」への、小さくも捨てられない旅

1 過分な夢などなくても、充分生きていけるのだ かつて、私たちが村落共同体にその身を預けていた頃は、産まれたとき、既にもう、人生の先が見えていて、その一生のサイクルも見通せてしまったが、特に誰もそれに異議を唱える者はいなかった。 人は皆、それ…

ベトナム戦争とは何だったのか

1 「防衛性・攻撃的大義」と、「攻撃性(侵略性)・防衛的大義」 「防衛性・攻撃的大義」と、「攻撃性(侵略性)・防衛的大義」。 分りにくいが、私の造語である。 「大義」という概念を説明する際に、色々、利用可能であると考えているが、ここでは、ベト…

人は、なぜ怒るのか

1 オスたちの「怒り」を吸収するボノボのメスの結束力 ボノボという霊長類がいる。 感情移入能力が最も高いと看做(みな)されている大型類人猿である。 コンゴ民主共和国の保護区に2万頭が生息し、チンパンジーに一番近い類人猿(ヒト科チンパンジー属)…

人間は限りなく酷薄に、愚かになり得る

カンボジア発の「キリング・フィールド」(殺戮の野)は、現代史が生んだ最悪なる負の遺産の一つである。 それは僅か4、5年という短い時間の中で、あろうことか、自国民に対する大量殺戮の蛮行を、まさに自国の歴史にどす黒く刻んでしまったのである。 そし…

西瓜を盗んだだけで首を吊るされた黒人たちの闘いの歴史

「黒人は人間ではない」 ―― 南部白人の対黒人観のスタートライン ルイジアナ州ニューオリンズ。 映画「それでも夜は明ける」の主人公・ソロモンが騙されて売り飛ばされた、合衆国最大の奴隷市場(競売市場)、且つ、奴隷売却地である。 ここで、1840年時…