「晒された、寡黙なる陰鬱さ」 文学的な、あまりにも文学的な

 
 「察知されないエゴイズム」

 これがあるために、一生食いっぱぐれないかも知れない。
 
人に上手に取り入る能力が、モラルを傷つけない詐欺師を演じ切れてしまうからだ。

 「察知されない鈍感さ」

これがあるために、不適切な仕草で最後まで走り抜けてしまうのかも知れない。
そこに関わる自尊心も、過剰に保障されてしまうからだ。

 「晒された、寡黙なる陰鬱さ」

 これがあるために、当人の周囲には不必要なバリアが作られてしまうのかも知れない。
 
自らの内側を、ゆっくりと深々と掘り下げていく営みが価値である時代が崩れて久しいからだ。

 人は喜びを分ち合える友がいなくても、その喜びの分だけ生きていけるが、悲鳴を上げられずにいられない者が、その悲鳴を聞いてくれる者がいないときの辛さに果たして耐えられるだろうか。
 
 
(心の風景 /「晒された、寡黙なる陰鬱さ」 文学的な、あまりにも文学的な)より抜粋http://www.freezilx2g.com/2012/06/blog-post.html(7月5日よりアドレスが変わりました)