中枢神経の脊髄が骨折することで運動、知覚機能、自立神経の障害を発現する脊髄損傷の中でも、「ブラウン・セガール症候群」(脊髄半側障害症候群/注)という厄介な疾病に罹患してから15年間、鬱病にならないためと、「無駄な時間」を浪費したくないという理由のみで、「心の風景」、「時代の風景」、「スポーツの風景」、「人生論的映画評論」などと銘打った駄文を書き散らしてきたが、最も時間を費したのが「映画評論」だった。
「映画評論」を書く行為が、自分の鈍い知的能力を駆使して、「考える」という作業を、へとへとに疲れるまで繋いでいると、集中力が増幅し、なぜか、脊髄損傷による中枢性疼痛が、ほんの少し和らぐ気分になれるのである。
この和らぎの気分は、抗鬱剤を摂取する効果をもたらせてくれるのだ。
そのためだけに、拙い「映画評論」を書き繋いでいる。
それで充分なのである。
ここでは、長い間、書き繋いできた「映画評論」の中でも、私の心に残った作品を選び、そこに、簡単な感想文を付加した次第である。
例外はあるが、原則的に、「Ⅰ監督Ⅰ作品」というルールを決め、「映画散策 この逸品」と呼べるものをまとめたが、新作の追加も想定しているので、少しずつ増やしていこうと考えている。
多くの「逸品」は、既に紹介してきたレビューと重なる部分があるが、ここでは、できる限り、異なった切り口の感想文を添えるスタンスを保持したいと思っている。
(注)「脊髄の半側が障害されたとき,特有のパターンの知覚異常と運動麻痺を生ずるものをいう。病名は動物の脊髄半側切断に関するブラウン・セカールの研究にちなんでつけられた。この症候群では病変のあるレベル以下において,病変と同側では運動麻痺,深部知覚障害および一部の触覚障害が起こり,反対側では温度覚,痛覚の障害と軽い触覚障害が生ずる。脊髄内には,知覚を伝える神経繊維が脊髄後根から入って上行し,運動をつかさどる神経繊維(この神経路を錐体路という)が下行している」(「コトバンク」より)。
正確なデータを取っていないので不分明だが、一説には、日本全国で年間1000人程度が罹患しているとも言われる。
(映画散策 この逸品 <外国映画編>)よりhttp://zilgqy.blogspot.jp/