1 「サブサハラ」の多様性と「文化的特異性」
世界最大の砂漠・サハラ砂漠で、大陸を大きく二つに分けるアフリカ大陸である。
このサハラ砂漠を境界点にすれば、イスラム教を国教とし、砂漠地帯(サハラ砂漠)とステップ気候(草原帯)に覆われる「北部アフリカ」(「ホワイトアフリカ」)以外の地帯の、「南部アフリカ」49カ国を「サブサハラ」(「ブラックアフリカ」)と言う。
政情不安によって、低成長の時代が続いた「サブサハラ」が世紀を超えた頃から、年平均5・8%の経済成長力を示し、経済成長の潜在性が高く、近年、中国の直接投資による影響力の増大があり、00年から3年に1度、開催されている「中国・アフリカ協力フォーラム」に象徴されるように、その関係は依然としてアンバランスな状態が続いているが、あえてポジティブにみれば、「最後のフロンティア」の風景を垣間見せている。
この「サブサハラ」の気候は、南北に向かって乾燥化する植生を特徴を有し、サハラ砂漠南縁部に広がる半砂漠系で、「窒素・リン・カリウム」という肥料の三要素が乏しい酸性土壌の「サヘル地域」から下ると、熱帯の乾季と雨季に分布する「サバンナ気候」、そして赤道直下で、「生物多様性」に富み、多層構造の樹木が広がる「熱帯雨林帯」の中部アフリカ、東アフリカの草原地帯、ナミビア・南アフリカ共和国の「カラハリ砂漠」の南部アフリカという風に、植生分布の変化が鮮明になっている。
イスラム教が国教となっている「北部アフリカ」と比べると、「サブサハラ」の言語はバリエーションに富んでいて、アフリカ北東部の「セム=ハム語族」系の「アフロ・アジア語族」、アフリカ中北部の「ナイル・サハラ語族」、「コイコイ人」(ホッテントット)・「サン人」の「コイサン語族」、キリスト教・仏教・ヒンドゥー教の語族の言語を使用する「インド・ヨーロッパ語族」など、多様性に富んでいる。
キリスト教が信仰の中心でありながらも、アニミズムなどの伝統宗教が普通に信仰されている現実を俯瞰(ふかん)すればするほど、優に2千を超える言語を持つ、アフリカにおける「民族多様性」・「遺伝的多様性」・「生物多様性」と、その「文化的特異性」のバリアに弾かれ、「やっぱり分からない」と弱音を吐いて、「アフリカの学習」の「包摂と排除」の凄みに圧倒されるほどである。
そんなアフリカの文化的特異性の中で、その猟奇性を印象づける「習俗」がある。