思い出の風景/風景の旅(その2)

 ここでは主に、日光霧降高原のヤマツツジミツバツツジ妙義山中腹の「さくらの里」に植えられたヤエザクラ(サトザクラ)、長瀞にある岩根神社が所有する、「岩根山つつじ園」のミツバツツジの写真が収められている。

 私自身、落葉半低木の朱赤色のヤマツツジと、落葉低木の紅紫色のミツバツツジの花が大好きなので、春になると、これらの花の群生地の写真を撮りに出かけることが多かった。

 更に、妙義山中腹の「さくらの里」に咲くサトザクラの風景は圧巻だった。

 僅かに、標高1100メートルを超えるに過ぎない山だが、噴火によって出現した尖った岩峰群を剥き出にして見せる、荒々しい山容を背景にするサトザクラミツバツツジとの不均衡な美しさは、一度見たら忘れない風景だった。

 しかし残念ながら、一度しか行ったことのない、妙義山中腹の「さくらの里」のサトザクラは未だ6分咲きの状態で、正直、不満だった。

 この未消化感がいつまでも残っていて、2000年5月11日に再訪するに至った。

 霧深き妙義山中腹にあと一歩のところで、ガードレールクラッシュに遭ったことで、私の年来の望みは絶えてしまったが、今はもう悔いることがない。

 仕事との関係で焦って、日帰りの強行で思いを遂げようとしたことが、難に遭ったと思っているからである。

 それにしても、これ程までに美しい風景が、この国に存在すること。

 その美しい風景が、身近に多く存在すること。

 それをイメージするだけで、至福の思いに満たされるのである。