奥武蔵・秩父の四季(その3)

 陽春の季節に奥武蔵の集落を歩くこと。

 これが、私の最も気に入った趣味である。

 特に、集落の細い路傍に咲くハナモモの赤やピンクが、私を魅了して止まないのである。

 だから、西部池袋線秩父線の各駅を降りて、自由に散策する習慣がいつしか身についてしまった。

 下車するのは、高麗、武蔵横手東吾野吾野西吾野、正丸、芦ヶ久保横瀬、そして西武秩父の各駅である。

 低山徘徊や集落、札所巡り等の撮影漫歩など、それぞれ異なった楽しみ方を満喫させてくれるので、これらのいずれの土地も大好きである。

 ハナモモの咲く季節には、新緑も美しく、サクラやレンギョウミツバツツジの花も咲くから、まさに百花繚乱といった絢爛さであるが、この眩いまでの風景美が静かな集落の趣と均衡し合って、何とも言えない感動を占有していた頃の贅沢を、しみじみ思い出す今日この頃である。
 
 
[ 思い出の風景 奥武蔵・秩父の四季(その3)  ]より抜粋http://zilgf.blogspot.com/2011/08/blog-post_26.html